まさに、Light and Shade。光は、倉庫の仕組み等も含めたシステム面。影は労働環境面。

アマゾン・ドット・コムの光と影
横田増生
おすすめ度:3.5
レビュー件数:70
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棚の写真は、先日の東洋経済8/29号でも見られますが、なかなかないと思うのが倉庫の見取り図。人気品は端のパレット積みから持っていく、高額品は柵に囲われている、などが図で紹介されています。55ページのピッキングゾーンと63ページの1階全体図、物流関係者(というか物流素人で勉強したいという私のような人)必見です。

影の面に関しては、エピローグに書かれているトヨタへの言及に集約されています。雇用体系に関しては保守的といえたトヨタが、労働者派遣法変更で製造現場に安価で手軽な派遣社員を使用し始めた、これを「アマゾン化」と評しています。
倉庫にアルバイトとして潜入して、実際に働いて、どんなに人がだめにされているかを伝えると言うのはリアリティは抜群です。手法としてはなかなかできないことだと思いますが、私としては目指したいところではあります(どこを目指しているんだ??)。

アマゾンジャパンとしての数字が全く見えないことへの苛立ちが非常に感じられますが、2003年時点で500億円と推測しており、東洋経済では2008年で2000億円と類推していますから、かなりの伸びです。伸びもそうだし、リアル書店トップの紀伊國屋書店が当時から横ばいで1000億円ですから、敵なしです。2番手と目される楽天ブックスとは3~4倍の差ではないか、というのも東洋経済ですが、なぜアマゾンはそんなに強いのか。
本書では、言葉だけではない顧客第一のサービスとしています。著者は、労働面ではかなりの怒りをもっているのですが、それでもサービスの良さで、サービスとしてはアマゾンファンだと言うのです。

しかし、サービスでそこまで差がつくのか。私の持つ微小なデータからすると、結論としては、みんなアマゾンしか知らない、と言うことではないかと思います。
このブログのリンクから本を買ってくれるのはごくわずかですが、それでも毎月数冊はあります。以前は、ほとんどアマゾンでした。しかし、ある時期からメインのリンクを楽天にしたところ、ほとんどが楽天になっています。
もっと自分の買いたい本屋があって、リピーターになっていると思ったのですが、そうではなくて、そこにリンクがあるからそこで買う。あるいは、アマゾンしか知らないからアマゾンのサイトで検索してそこで買う。そんなことではないかなと言う気がするわけです。
そう言う意味で、アフィリエイターもアマゾンしか知らない。世の中、本購入のリンクはアマゾンだらけですよね。ですからますますアマゾンだらけになり、アマゾンしか知らないという状況が作られていると思います。

ですから、打倒アマゾンを目指す各社は、Tシャツを着るのではなく(すまぬ)、もっと一般アピールしないとだめですよ。サービス競争の前に、まず土俵に乗らないと。たぶん、パソコン会社で働いている人に、「アマゾン以外で本を買えるサイトはどこか知っていますか?」と聞いても、あなたのサイトは出てこないと思いますよ。

あわせてどうぞ

週刊 東洋経済 2009年 8/29号 [雑誌]

おすすめ度:4.5
レビュー件数:7
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