うちの言葉では直接率。

SIをやるのは正社員の終身雇用を守るため?

SIの現場にいればわかるけど、いつも案件があるわけではないから、有償稼動していない時間というのは存在する。その有償稼動していない時間は、企業的にはできるだけ減らしたい。正社員をいっぱい抱えると、どうしても有償稼動していない時間が増える。だから、案件の状況によって変わる部分を下請けでカバーするという構造。

大きな仕事をやる分にはまだどこかにお願いすればカバーしてもらえるからいいですけど、2週間とか1カ月とかの仕事でいちいちよそにお願いしてられないです。そんな状況で、直接率をたとえば90%にキープしようとすると、90%に達するまでは仕事を受け入れ続け、緊急の割り込み仕事(商談支援・見積などが典型)が入ると、その個人は簡単にオーバーフローします。それでいながら、原価管理をプロジェクト単位で行いますので、他人に頼むオーバヘッドが大きいと判断すれば、かりにその人の直接率が低くても仕事を依頼するとは限りません。(不機嫌な職場ってまだ読んでませんが、こんなこと書いてますかね??)

プロジェクトのコストを考えるときに、人件費中心で考えるのはやめられないですかね。仕事が少なくても人件費はかかるんです。と同時に、人間はいろいろな目的に使うことができるんです。自分たちの開発はそんなに完璧ですか?次の開発のためにやっておくべきことなんて山ほどありますよね?プロジェクトごとの原価管理なんてやってないで、個人も組織もレベルアップに時間を使わないと。それをやって自分たちがアウトプットするものの価値を高めていかないと、目先の直接率を上げたところで、総崩れですって。

単価ではなくて、自分たちが提供するものの価値を上げる。価値って言うと抽象的になってしまいますが、価値の一つの例はリリースまでの時間。今3ヶ月で提供しているものを3週間で提供できるようになれば、それは提供できるものの価値が大きく上がっています。そこまで来れば、直接率という概念で考えて40%くらいでも成り立つんじゃないかな、とこれは根拠レスですが。

大丈夫、そうなっても雇用危機にはなりません。「間接時間」でやるべきことはまだまだあります。これをやっておけば次の仕事は1年かかっていたものが1か月でできるようになる、ということであれば、そこに人を投入すべきです。

夢物語ではないと思っているんですけどね・・・

(まとめ)
・SIerの価値は、様々なSIを経験することによりアウトプットの価値を高めるところにある
・原価管理、特に人件費の管理を変えることにより、アウトプットの価値を向上させるための活動を充実させよう
・そのためにはまだまだこの業界、人は足りないはず

 

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)
不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926) 河合 太介

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