読んでからちょっと経ってしまいましたが、忘れないように。

デザイン脳を開く―建築の発想法
デザイン脳を開く―建築の発想法 宮宇地 一彦

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■建築における「問題対私たち の構図」
 書院造においては、主従の上下関係をはっきりさせるための空間を作り出していたのに対して、茶室は本音の話をするための裏の場所として作られてきた、ということなのですが、そのための方式がなんと!
 茶室での座り方は、亭主と客は互いに体の軸を斜めに交差させて座ります。横腹を見せて=スキを見せて座ることにより、信頼関係が生まれていたということです。
 さらにそのための方策として、壁と壁のぶつかる入り隅に視線を向けるとそれが美しい、というデザインを施すそうです(筆者の言葉では「入り隅絵画性」)。
 PFでは、入り隅がホワイトボードというわけですね。
■関心の分離・結合
 ゲーテの「形態学序説」に「分析的な研究をたえず続けていると、多くの欠点が生じてくる。生命ある存在を分析していけば、たしかに諸要素には到達できる。だが、この諸要素を集めたところで、もとの生命ある存在を再構成したり、生の息吹を与えることはできないのである」という言葉があるそうです。そして、ガウディはこれを愛読し、自然と直接対峙したデザインを指向したそうです。
 ここの分析をレベルアップするために分離して分析することは必要ですが、最後には結合されるわけで、それを忘れてはいけないですね。
■ユニバーサルデザイン
 ユニバーサルデザインという言葉がメイスさんという方が作った言葉というのは知りませんでした。7原則として体系化されているそうです。
①利用の公平性
②利用にあたっての高い自由度
③利用法が直感的に分かること
④与えられる情報の理解のし易さ
⑤利用ミスの許容
⑥無理な姿勢や力が要らないこと
⑦寸法と空間の包容性
(参考)http://www.chiikikeikakusekkei.com/storehouse2.htm
■経験
 デザイン目的を達成したと判断するのはいつか。図面が完成した時?建物が建設されたとき?完成した建物の中を歩いてみて予定通りの経験が確認できたとき?
■名前付け
 樋口忠彦さんの「日本の景観」では、すばらしい風景に名前をつけて七つの型、1.秋津州(あきつしま)やまと 2.八葉蓮華(はちようれんげ) 3.水分神社(みくまりじんじゃ) 4.隠国(こもりく) 5.蔵風得水(ぞうふうとくすい) 6.神奈備(かんなび)山 7.国見山に分類しているそうです。
 著者は、これを建築に生かしているということで、このように名前が付けられて分類されていることでイメージ発想に役立つということです。

日本の景観―ふるさとの原型
日本の景観―ふるさとの原型 樋口 忠彦

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■パタン・ランゲージ
 アレグザンダーのパタン・ランゲージも、アイデア技法として紹介されています。
 ただし、ここでも、今は期待感が多少薄らいでいる、という紹介のされ方をされているのが、ちょっと気になるところではあります。コトバから具体には直接には結びつかず、コトバに相応のイメージが付いていないといけないが、その結びつけが弱かったように思われるということです。